「インフルエンザはまだ先…」と思っていませんか?今年は早めの対策が大切です
「インフルエンザは冬の病気だから、まだ心配しなくても大丈夫」と思っている方も多いのではないでしょうか。
ところが、今年は少し注意が必要です。厚生労働省によると、2026年8月28日にインフルエンザが流行入りとなりました。これは1999年に現在の感染症発生動向調査が始まって以来、2番目に早い流行入りと報告されています。[1]
厚生労働省は「流行入りが早いことが、今後の大きな流行を意味するわけではない」としていますが、「インフルエンザは冬になってから」というこれまでのイメージを変えて、今年は早めに備えることが大切です。[1]
インフルエンザの初期症状と風邪との違い
インフルエンザでは、発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、強いだるさなどが比較的急激に現れる特徴があります。
一方で、咳、鼻水、のどの痛みなど、一般的な風邪と似た症状もみられます。そのため「少し喉が痛いだけだから風邪だろう」「疲れているだけかな」と思っているうちに、急激に症状が悪化するケースも少なくありません。
特に、ご家族や職場、学校など身近な環境でインフルエンザが流行している場合は、初期症状を軽く考えず注意深く観察しましょう。
早期から始めたいインフルエンザの感染予防対策
インフルエンザは例年冬にピークを迎えますが、2026年は8月の時点ですでに流行入りしています。[1]
そのため今年は、流行が始まった今から対策を始めるという意識を持つことが推奨されます。日常生活で取り組める具体的な予防策を確認しておきましょう。
ワクチン接種の早期検討と効果
インフルエンザワクチンは発症を完全に防ぐものではありませんが、接種によって発症や重症化のリスクを軽減する効果が期待されています。
成人を対象とした研究のメタ解析において、インフルエンザワクチンには一定の発症予防効果が認められており、入院リスクを減らす効果も確認されています。[2][3]
特に高齢者や基礎疾患をお持ちの方など、重症化リスクが高い方は早めのワクチン接種の検討が重要です。2026年は医療機関の体制が整い次第、例年より早く定期接種を開始できる方針が示されています。[1]
当院では10月1日から接種を行います。予約を開始しておりますので、お早めにお申し込みください。
帰宅時の手洗いと手指衛生の徹底
身近で続けやすい感染予防策として手洗いが挙げられます。地域社会における研究でも、手指衛生には一定の予防効果が示されています。[4]
さらに、手指衛生に加えてマスクの着用を組み合わせることで、インフルエンザの感染リスクをより低減させる効果が報告されています。[5]
外出先からの帰宅時や食事の前など、タイミングを決めて手洗いを習慣化しましょう。
人混みにおける感染対策とマスク着用
流行期には、人が多く集まる場所での感染リスクが高まります。すべての外出を控える必要はありませんが、混雑した場所へ行く際や同居者が罹患した場合には、マスク着用や換気など適切な対策を講じましょう。
特に高齢者、妊婦、持病のある方は、周囲の流行状況に合わせた慎重な行動が求められます。
定期的な室内換気の重要性
インフルエンザを含む呼吸器感染症の予防には、室内の換気も有効です。
「起床時」や「食事の前後」など、日常生活のルーティンに換気を取り入れることで、無理なく継続的な空気の入れ替えが行えます。
十分な睡眠と日頃の体調管理
感染症への抵抗力を保つためには、基本的な体調管理が欠かせません。睡眠不足や過度な疲労の蓄積は、体調を崩す要因となります。
- 十分な睡眠時間を確保する
- 栄養バランスの整った食事をとる
- 疲労を感じたときは無理をせず休息をとる
これら日頃の健康管理を意識して過ごすことが大切です。
風邪症状がみられた際の注意点とセルフチェック
インフルエンザは、発症前日から発症後数日間にわたりウイルスを排出します。症状がある状態で無理に出勤や登校をすると、周囲へ感染を拡大させる恐れがあります。
以下のような症状がみられる場合は、インフルエンザの可能性を考慮してください。
- 急激な発熱がある
- 強い倦怠感(体のだるさ)を感じる
- 関節痛や筋肉痛が強い
- 急に咳やのどの痛みが生じた
- 周囲にインフルエンザの感染者がいる
「多少の熱なら大丈夫」と過信せず、まずは自身の体調をしっかりと確認してください。
発症早期の受診と治療の重要性
インフルエンザと診断された場合、抗インフルエンザウイルス薬を用いた治療が検討されます。
抗インフルエンザ薬は、一般的に発症後48時間以内に内服を開始することで、有病期間を短縮させる効果が期待できます。[6]
疑わしい症状が出た際には、様子を見過ぎずに早期受診を検討しましょう。ただし、治療方針は年齢や基礎疾患、症状の経過を総合的に考慮して医師が判断します。
まとめ:早い時期からの備えで感染を防ぐ
インフルエンザは冬の病気という先入観を持たず、流行が確認された段階から予防行動をとることが大切です。
手洗いや換気の徹底、体調管理、必要に応じたワクチン接種など、かかる前にできる対策を生活の中へ取り入れていきましょう。
参考文献
[1] 厚生労働省.上野大臣会見概要(令和8年9月8日)
厚生労働省「上野大臣会見概要」
[2] Osterholm MT, et al. Efficacy and effectiveness of influenza vaccines: a systematic review and meta-analysis. Lancet Infect Dis. 2012;12:36-44.
PubMed「Efficacy and effectiveness of influenza vaccines」
[3] Darvishian M, et al. Effectiveness of influenza vaccines in preventing severe influenza illness among adults: A systematic review and meta-analysis of test-negative design case-control studies. J Infect. 2017;75:330-341.
PubMed「Effectiveness of influenza vaccines in preventing severe influenza illness among adults」
[4] Moncion K, et al. Effectiveness of hand hygiene practices in preventing influenza virus infection in the community setting: A systematic review. Can Commun Dis Rep. 2019;45:12-23.
PubMed「Effectiveness of hand hygiene practices」
[5] Wong VWY, et al. Hand hygiene and risk of influenza virus infections in the community: a systematic review and meta-analysis. Epidemiol Infect. 2014;142:922-932.
PubMed「Hand hygiene and risk of influenza virus infections」
[6] Shanto T, et al. Antivirals Improve Outcomes in Influenza. Emerg Med Clin North Am. 2026;44:495-505.
PubMed「Antivirals Improve Outcomes in Influenza」
この文章の監修者
院長 岩田 晋
名古屋市緑区作の山町にある「さくのやま内科・呼吸器内科」院長の岩田晋です。私は日本呼吸器学会専門医、日本アレルギー学会専門医、日本呼吸器内視鏡学会専門医という3つの専門医資格を持つスペシャリストとして、地域のみなさまの健やかな呼吸を支えることを使命としています。当院は精密な診断に基づいたオーダーメイド医療を提供し、一人ひとりの不安を解消できるクリニックを目指しています。
学会・専門資格等
- 日本呼吸器学会専門医
- 日本アレルギー学会専門医
- 日本呼吸器内視鏡学会専門医
- 日本内科学会認定内科医
院長略歴
| 年 | 経歴 |
|---|---|
| 1998年 | 福井医科大学(現:福井大学)医学部 卒業 |
| 1998年 | 小牧市民病院 初期研修医 |
| 2005年 | 名古屋大学医学部附属病院 |
| 2009年 | 小牧市民病院 医長 |
| 2014年 | 春日井市民病院 部長 |
| 2025年 | さくのやま内科・呼吸器内科 開院 |
