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根性だけで禁煙するのは難しい?―「禁煙外来」を利用するメリットとは

[2026.05.10]

「やめなきゃいけないのは分かっている。でも、どうしても手が伸びてしまう。私の根性が足りないからですよね」

受診された患者さんから、このような切実なご相談をいただくことがあります。今回は自力でやめるのと、わざわざ病院へ通って治療するのとでは医学的に見てどのような違いがあるのかという疑問にお答えしましょう。

実は、禁煙を根性や意志だけで解決しようとするのは、骨折を自力で治そうとするのと同じくらい大変なことなのです。なぜ専門の治療が必要なのか、その理由をひも解いていきましょう。

根性だけでは太刀打ちできない理由

結論からお伝えすると、禁煙に失敗するのは意志の強さの問題ではなく、ニコチン依存症という脳の病気が原因です。

自力で禁煙を試みた場合と、禁煙外来を利用した場合では、成功率に以下のような大きな差が生じます。

禁煙の方法 成功率・継続率の目安
自力での禁煙 1年後に継続できている確率はわずか5%前後(20人に1人)
禁煙外来(病院での治療) 自力で行う場合と比較して成功率が3〜4倍に高まる

出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「禁煙支援・治療」、日本禁煙学会「禁煙学」など

病院での治療と自力での禁煙には、大きく分けて3つの違いがあります。

医学的アプローチによる禁煙治療の3つの特徴

  1. 脳のパニックをお薬で抑える
    タバコを止めると、イライラしたり、集中力がなくなったり、猛烈に吸いたくなったりします。これは脳がニコチンを求めてパニックを起こしている離脱症状です。禁煙外来では、ニコチンパッチなどのお薬を使って、この脳のパニックを物理的に和らげます。精神力で耐えるのではなく、お薬で脳をサポートしながら、依存から脱却するのが医学的なアプローチです。
  2. 専門家と一緒に作戦を立てる
    禁煙外来は、単にお薬を出すだけではありません。口寂しい時にどうするか、飲み会に誘われたらどう切り抜けるかといった、日常生活の具体的な乗り越え方(行動療法)を医師や看護師と一緒に考えていきます。世界中の多くの研究データを分析した結果でも、自分一人の意志で頑張るより、医療スタッフからのアドバイスを組み合わせたほうが、長期的な成功率がはるかに高いことが証明されています。
  3. 将来の体とお財布への大きなメリット
    治療費がかかると心配されるかもしれません。しかし、禁煙治療は、あらゆる病気の予防策の中で将来の体とお財布へのメリットが最も大きいものの一つと言われています。

禁煙治療にかかる費用と健康への投資

3ヶ月の治療費(3割負担の場合)の目安は以下の通りです。

禁煙治療費(3ヶ月) 毎日タバコを1箱買う方の約1ヶ月分から1.5ヶ月分の代金

今、タバコ代を禁煙治療に回すことは、将来的に肺がんや心筋梗塞、あるいは息切れで苦しむことになるCOPD(肺気腫)などの重い病気を防ぎ、将来かかるはずだった高額な医療費を節約することにつながるのです。

最後の一本にするために

「何度も失敗しているから……」と諦める必要はありません。それはあなたの意志が弱いのではなく、ニコチンの依存性がそれだけ強力だからです。

医学の力を借りることで、そのハードルはぐっと低くなります。呼吸器専門医として、あなたが健やかな呼吸を取り戻すお手伝いをいたします。まずは一度、リラックスしてご相談ください。


著者・監修:さくのやま内科・呼吸器内科院長 岩田 晋

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